2021.12.04

広島大学 吉岡学生コーチ ~わがままな延長戦~

来たる12月6日(月)より、国立代々木競技場第二体育館他にて

第73回全日本大学バスケットボール選手権大会が開幕します。

2年ぶりの有観客開催となる今大会、

各地区の注目校にコラムを執筆してもらいました。


初めまして。広島大学男子バスケットボール部で学生HCを務めている吉岡慶亮(よしおかけいすけ)と申します。


広島大学バスケットボール部が第72回インカレを棄権してから,1年が経とうとしています。キャプテンとして挑んだ昨シーズンは,インカレの棄権によって,突然幕を閉じました。

昨年度のチーム初の公式戦はインカレ中国地区予選でした。新型コロナウイルスの影響で,十分な練習ができていない,試合の経験が足りないなど言い訳を考えることは容易でしたが,難しい条件であることはどのチームにとっても同じですし,そんな言い訳をしてはバスケ人生に悔いが残ると,キャプテンとして,最高学年として,限られた環境の中で最大限の努力をしました。チーム目標である,インカレ予選全勝優勝・インカレ一勝を絶対に達成するという強い思いが結果となり,ブロック優勝ではありますが,インカレへの切符を手にすることができました。それと同時に,2020年9月27日,インカレ一勝へ向けた熱い2ヶ月が始まりました。

私自身,怪我が多くプレーのできなかった時間の方が長かったのですが,最後の1年間はほとんど練習を抜けることもなく, 満足のいく選手生活を送ることができていました。しかし,11月半ば,インカレ2週間前に怪我。1週間休んで,1週間で体を戻す計画でした。ところが,1週間の休養を終え,練習を再開しようとしたところで,学内の感染拡大の状況を鑑みた大学が, 全課外活動停止の判断を下しました。チームとしても,インカレの対戦相手が決まり,「ここから」という時でした。それでも,インカレ出場への希望は絶やさず,練習できなくても, ぶっつけ本番でも, 絶対にインカレに出るつもりで最後までできる限りの準備を行いました。しかし, 大学の許可は下りず,男子部,女子部ともにインカレは棄権するしかありませんでした。結局プレーができないまま,喜びも,楽しさも,悔しささえも感じることができず, 空っぽのまま私たち平成29年度入学の代(昨年度の4年生)は引退となりました。「どうしようもない」と自分に言い聞かせることしかできませんでした。正直あの時は, どんな声をかけられても前を向くことは出来なかったことを今でも鮮明に覚えています。


話は変わりますが, 広島大学男子バスケットボール部は,院生や学部生がHCを務め,学生が中心となってチームを運営する学生主体のチームです。私自身, バスケの指導者に進みたいという強い思いがあり, 大学院に進学して学生HCをしたいと4年生の時から考えていました。自分の代のチームが始まった時点で,次年度のチームのことを考えはじめ,1年間選手としてバスケに打ち込みながらも,コーチとしての準備も行っていました。

選手としてのバスケ人生が終わった1年前, 終わった直後はバスケから離れたいという感情が強く, すぐにバスケと向き合うことは難しかったです。でも, 一生経験することのないような思いをした自分だからこそ, 次の新チーム, 後輩たちにできることがあると思い, 立てなかったインカレの舞台に1年後は「必ず立つ」と心に決めて学生HCのスタートを切りました。

学生HCになる時に「チームの誰よりも努力する」ことを1年間の目標として決めました。努力は報われないかもしれないけれど, 努力しないとその報われるか報われないかの瀬戸際に立つことすらできない, 自信を持って何かをするためには努力の時間しか解決してくれない, という思いがありこの目標を掲げました。

学生HCをするに向けて1年間かなりの準備をしてきたつもりでしたが,いざ自分がHCを務めるとなると,選手にとってはただの先輩でしかなく,学生バスケしか経験してないからこその知識不足,指導者としての経験不足,無力さを痛感しました。これまでいろいろなチームでバスケをしてきて,多様な考え方を持つ選手をひとつのチームにする中で,たくさんの失敗をし,選手に迷惑をかけてしまったことも多くあります。落ち込むこともありましたが,涙を流した同期,応援してくれた家族,友達,声をかけてくださった多くの方々の思い,後輩とともにもう一度インカレに挑戦したいという思いが原動力となり,ここまで来ることができました。

選手,スタッフ陣,たった1年間しかないこのチームで絶対に後悔をしてほしくないと思い,厳しいことをたくさん言ってしまったけれど,ここまで信じてついてきてくれてありがとう。

私のわがままな「延長戦」を一緒に戦ってくれてありがとう。


昨年の傷を原動力にして,1年間戦い続けてきた全てをインカレのコートに置いてきます!大会関係者の皆様,応援してくださる皆様への感謝を忘れず, 全身全霊で戦い抜きますので,応援よろしくお願いします!


広島大学の初戦は

12月6日(月) 15時30分〜 @大田区総合体育館Bコート

vs福岡大学


昨年の傷を原動力にして、1年間戦い続けてきた全てコートにぶつけると強く意気込むを彼らの戦いに注目したい。

Writer
西尾 知夏(ニシオ チナツ)

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