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【李相佰盃強化合宿レポート#5】男子第1次強化合宿5日目
第48回李相佰盃 日・韓大学代表バスケットボール競技大会に向けた男子日本代表チームの第一次強化合宿は、いよいよ終盤戦に突入。本日を終え、残り1日となった。連日のハードな練習を経て、選手たちの連携はさらに深まり、初日とは異なる結束力を持つチームへと変貌しつつある。
練習の雰囲気にも変化が見られ、コート内外でのコミュニケーションが活性化。ポジティブな声掛けや士気向上を促すメンタル面の指導は減少し、実戦を想定したプレーの細部に焦点を当てた指導が中心となっている。
ディフェンスコミュニケーションの向上
アピアパトリック眞選手(C/197cm/専修大学)は、今回の強化合宿を通じてディフェンス時のコミュニケーションの重要性を改めて実感した。
「ディフェンスの際に声を出すことは以前から求められていたが、これまではヘルプの際に基本的な声掛けをする程度だった。しかし、合宿を通じて他の選手たちがどのようなコミュニケーションを取っているのかを学び、より多様な声掛けができるようになったと感じている」と、自身の成長を振り返る。
これまでは自身のポジションや役割を伝えることが中心だったが、今回の合宿では「味方のマークマンの動き」や「チーム全体の守備状況」をより的確に伝えることを意識。これにより、チームディフェンスの精度向上に貢献できる手応えを得た。
昨年の悔しさを糧に
小澤飛悠選手(SF/190cm/日本体育大学)は、「昨年の李相佰盃では、悔しい思いをした。その経験を活かし、今年こそは自分の持ち味を最大限に発揮し、代表メンバーに選ばれることを強く意識している」と語る。
合宿も終盤に差し掛かり、練習の質や強度は日に日に高まっている中で、小澤選手は「チーム全体がそれぞれの長所を理解し合いながらプレーできているのが、良い変化だと感じている」と手応えを掴んでいる。一方で、課題も明確になってきた。「練習の雰囲気を作るのは選手自身であるべきだが、現状ではコーチ陣の声に助けられている部分が大きい。今後は、選手が主体となって練習の流れを作れるようにならなければならない」と、自発的なリーダーシップの必要性を強調した。
ACの視点
この合宿を支える仲澤翔大AC(筑波大学)と西尾吉弘AC(大東文化大学)は共通して「選手たちが日々自分の良さをアピールし、競争が激化している。そのため、選考が非常に難しくなっている」と前向きな苦悩を語る。
仲澤ACは、「選手たちとは年齢が近い分、ファンダメンタルのドリルやチーム練習ではダミーディフェンスとして積極的に関わり、実戦に近い強度と精度を意識した練習環境を作ることを心がけている」と、自身の役割について語る。
また、来年度から筑波大学の監督に就任することが決まっており、代表合宿の経験を今後の指導に活かす意向を示した。「筑波大学からは2人の選手が選ばれているが、チーム事情もあり、普段は大型選手と対峙する機会が限られる。今回の合宿で高い強度やフィジカルの違いを体感することは、彼らにとって非常に貴重な経験」と、選手の成長を期待する。
さらに、「普段の練習では自分たちの能力だけで乗り切れることもあるかもしれない。しかし、この合宿では苦労しており、厳しい環境の中でどう適応するかが問われている。だからこそ、彼らがこの場で得たものを筑波大学に持ち帰り、さらに成長してくれることを期待している」と語った。
また、西尾ACは、「メンタルや強度の面で、選手たちはどのレベルでプレーすべきなのか、何を求められているのかをしっかり理解してほしい」と強調する。
「代表チームでは、40分間プレーするのではなく、短い出場時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮することが求められる。そのため、普段とは異なる厳しい条件でのプレーが必要。この経験を通じて、選手たちが得た情報をチームメイトにも共有し、日本の大学バスケ全体のレベルアップにつなげてほしい」と語り、代表活動の意義について言及した。
「大学カテゴリー全体の底上げを図るためには、ここでの経験を個々のチームに持ち帰り、日々の練習に反映することが不可欠。そのためにも、選手たちがここで得た情報を積極的にチームで発信し、互いに切磋琢磨できる環境を作ることが大切だと考えいる」と、今後の大学バスケ界の成長への道を示す。
合宿最終日を迎えるにあたり、選手たちはそれぞれの課題と向き合いながら、さらなるレベルアップを図る。日々激化していく競争の中で、選手たちが自分の持てる力を存分に発揮できることを期待している。